130本のテープー週末里親17年の記録からー
滝口芙美子・文
滝口洋三・写真
家庭養護促進協会・監修
2012年1月10日・発刊
エピック・発行
定価・1000円
A5判・37ページ
ゆうきくんはダウン症があります。滝口夫妻が7歳のゆうき君の週末里親になって17年間がたちました。ゆうき君が成人した後も、夫妻とゆうき君の交流は続いています。
芙美子さんは元保育士で、児童養護施設で働いたり、保育所でハンディキャップのあるこどものクラスの担当になったりした経験がありました。
洋三さんは視力に障がいがあり、自分の目の代わりになるビデオカメラで撮影するのが趣味でした。
ゆうき君なら一緒に遊びにいって、夫がその様子をビデオでうつすこともでき、うまくいくのではいかと芙美子さんは思ったそうです。
洋三さんがこれまでにとったビデオテープは130本になりました。夫妻もゆうき君もユーモアのある明るい人柄で、3人でいろんな場所に出かけ、楽しい思い出がたくさんできました。
滝口夫妻が週末里親になろうと思ったきっかけ、ゆうき君との出会いと交流のようす、ゆうき君の成長、週末里親をしながら感じたこと、喜び、夫妻の思いが、文と写真で綴られています。
ぜひ、お読みください。
本文より
4回目の交流で、ゆうき君は初めてわが家に泊まりました。その日は、以前2回のゆうき君との遊びの様子を移したビデオを一緒に見たり、夫が録画しておいたゆうき君が好きだというアンパンマンとドラえもんのアニメを見たり、私が用意していた絵本を読んで聴かせたりして過ごしました。
私が読んだ絵本のなかに、赤ちゃんがお母さんに抱っこされ、お風呂に入れてもらっている場面がありました。ダウン症のためにゆうき君はうまく話せません。ゆうき君は、その絵本のお母さんを指さし、私を指さしました。次に赤ちゃんを指さして、その指を自分自身に向け、尋ねるしぐさをしました。そのとき、ゆうき君はずっとお母さんを探していたのだとわかりました。ゆうき君は生まれて間もなく施設に預けられているので、お母さんを知りません。私は涙があふれそうになりながら絵本を読み終えました。
そしてその晩は一緒にお風呂に入り、指の先から足の先までていねいに洗ってあげました。
★関西テレビ制作のドキュメンタリービデオ「ゆっち、25歳」もあります。