保護者のための里親制度 Q&A

Q1:こどもを家庭で育てることが難しくなったとき、こどもの預け先にはどんなところがありますか?

まずは、保育所の利用や経済的支援など、子育て支援や福祉の制度を利用しながら、家庭でこどもを養育することができないかを相談することができます。
母子家庭(またはそれに準ずる母子)の場合、母子で入居する「母子生活支援施設」もあります。

こどもと離れて生活しなくてはいけない場合、こどもが育つ環境を選ぶことは、保護者の大切な役割です。大きく分けて「家庭養護(ようご)」と「施設養護(ようご)」があります。

里親
  • 都道府県知事(指定都市市長)の認定を受けた里親の自宅で生活
  • 預かれるこどもは4人まで
  • 4つの種類がある
ファミリーホーム
  • 2名の養育者と補助者1名
    (または1名の養育者と補助者2名)
  • 養育者の住居で、5~6人の子どもたちが生活
養子縁組
  • 養子縁組をすると、親権は養親に移る
  • 「特別養子縁組」(実親との法律的な親子関係を終了し、養親が法律的に唯一の親となる)と、「普通養子縁組」(親権は養親に移るが、子どもは2組の親を持つ)がある。

乳児院
  • 乳児(0歳)、必要な場合は幼児(小学校就学前)が生活
児童養護施設
  • 0歳~18歳(必要な場合は20歳まで)のこどもが生活
その他の
児童福祉施設
  • 障害児施設、児童心理治療施設、
    児童自立支援施設など

Q2:里親に預けるメリットは何ですか?

里親は、家庭環境の中で、こどもに個別に対応するこができます。
こどもは家庭生活を経験しながら、安定した人間関係のもとで成長できるというメリットがあります。

里親家庭で育つメリット

  1. 特定の大人が一貫してこどもを養育することにより、安心感や自己肯定感、基本的信頼感をはぐくむことができる。
  2. 親や家族のモデルを学ぶことができ、将来家庭を築くときの参考にできる。
  3. 家族の人間関係、地域のつきあいなど、生活感覚や社会性を身に着けることができる。

施設の専門性と集団生活

  1. 専門の職員により、生活指導や治療を受けることができる。
  2. 集団生活やグループワークを通して、異年齢の子どもたちとの人間関係を学ぶことができる。

Q3:里親にはどんな種類がありますか?

里親は児童福祉法にもとづいて、4つの種類があります。
こどもの事情にあわせて、ふさわしい家庭を選びます。

養育
里親
家庭復帰、または自立を目標に一定期間預ける
保護者と暮らせるようになるまでの一定の期間、または18歳(必要と認められれば20歳)までこどもを養育する
専門
里親
こどもに特に支援が必要な場合
養育里親のうち、虐待を受けた経験や非行の傾向、障がいがあるなど、特に支援が必要なこどもを養育する
養子縁組
里親
こどもに新しい家庭をみつける
保護者が将来的にも養育することが難しいこどもを、養子縁組をすることを希望して養育する
親族
里親
孫を祖父母が育てる場合など
保護者が死亡や行方不明、拘禁、入院などの理由により、こどもを養育できなくなった場合、祖父母など扶養義務のある親族(※1)およびその配偶者が養育する

※1 扶養義務のある親族とは直系血族および兄弟姉妹になります。
こどもの祖父母や兄・姉が考えられます。
おじ・おばには扶養義務はないので、養育里親になります。

★詳しくはこちら→里親の種類と要件

Q4:どのような人が里親になるのですか?

こどもを自らの家庭で養育することを希望して、里親養育について研修を修了し、家庭訪問調査を受け、都道府県(指定都市)の児童福祉審議会で適当であると認められた人です。
都道府県(指定都市)の里親名簿に登録され、5年ごとに更新の手続きがあります。

養育里親・養子縁組里親になるための4つの要件

  1. こどもの養育に理解と熱意、愛情をもっていること
  2. 経済的に困窮していないこと
  3. 研修を修了したこと
  4. 児童虐待やこどもの福祉に反する行為などの問題がないと認められること

Q5:養育里親とファミリーホームの違いは何ですか?

「養育里親」と「ファミリーホーム」は、どちらも一定の期間、またはこどもが18歳になるまで(必要があると認められれば20歳まで)、養育者の住居で養育するという点では同じです。

違うところは、預かるこどもの人数、養育の体制です。
ファミリーホームでは、常時複数(定員5~6人)のこどもが生活しており、養育者と補助者あわせて3名以上がいます。里親の多くは地域の一般家庭(夫婦や単身者とその家族など)で、養育するこどもは1人~4人以下です。

Q6:里親の養育にはきまりがあるのですか?

里親の養育は、社会的なものです。
こどもの利益のために最低限守らなければならないきまり=「里親が行う養育に関する最低基準」があります。

一般原則
  • 児童の自主性を尊重
  • 基本的生活習慣を確立
  • 豊かな人間性、社会性を養う
  • 児童の自立を支援することを目的とする
児童を平等に養育する原則
  • 里親のこどもや他のこどもと比べて、または国籍、信条、社会的身分によって差別的な養育をしてはならない
虐待等の禁止
  • 児童虐待、児童の心身に有害な影響を与える行為をしてはならない
懲戒に係る権限の
濫用の禁止
  • 懲戒に関し、児童の福祉に必要な措置をとるときは、身体的苦痛を与え、人格を辱める等、権限を濫用してはならない。
教育
  • 義務教育の他、必要な教育を受けさせるよう努めなければならない。
健康管理等
  • 常に児童の健康の状況に注意する。
  • 健康保持のための必要な措置をとらなければならない。
金銭管理
  • 児童に係る給付金の趣旨に従って用いる
秘密保持
  •  児童や家族の秘密をもらしてはならない
 苦情への対応
  •  児童からの苦情、その他の意思表示に対し、迅速かつ適切に対応しなければならない

Q7:どのようにこどもの里親を選ぶのですか?

こどもの養育の期間、性別、年齢、健康状態、通学の条件などを考慮して、登録されている里親の中から、こどもにとって適当であると考えられる里親家庭を選びます。
こどもが新しい環境に慣れることができるように、里親との面会・交流を重ねて、状況を確認しながら、すすめていきます。

Q8:養子縁組について教えてください

養子縁組とは、他人との間に法律上の親子関係を作ることで、養子縁組が成立すると、親のとしての責任や権利は養親に移ります。
養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組があります。
特別養子縁組は原則として15歳未満のこどものための養子縁組で、成立すると実親側との法律上の親族関係は消滅し、養親を唯一の親とします。

こどもを将来的にも育てることが難しい場合には、こどもに新しい家庭を探すという方法もあります。
里親家庭やファミリーホーム、施設で生活するということは、こどもにとって一時的な環境です。18歳になれば(認められれば20歳まで)、児童福祉法の措置がきれます。
養子縁組には、法律的に保障された永続的な親子関係の中で、こどもが安心して成長していける、というメリットがあります。
養子縁組には保護者の同意が必要です。養子縁組を希望する場合は、よく相談して説明を受けましょう。
妊娠中から相談することも可能です。