児童の権利条約と児童福祉法改正(平成28年5月27日成立・6月3日公布)

養子縁組は民法上の制度です。
里親制度は児童福祉法上の制度です。

子どもと養子縁組をするのに、必ずしも里親になる必要はありませんが、児童相談所が関わる要保護児童との養子縁組は、児童福祉の見地から、これまでも里親制度の中で行なわれてきました。

児童の権利条約(1989年国連採択)では、こどもの養子縁組は、児童の最善の利益に最大の考慮を払い、権限のある当局(日本では家庭裁判所)によってのみ認められること、当局は法律・手続きに従い、信頼しうるすべての関連情報に基づいて、父母、親族、法定保護者に関する児童の状況にかんがみ養子縁組を許容し、必要な場合には、関係者がカウンセリングに基づいて養子縁組について事情を知らされた上で同意していることを認定する、としています。

日本は児童の権利条約を1994年に批准し、条約にあわせて国内法を整備してきていますが、国連児童の権利委員会からさまざまな勧告を受けています。(くわしくは外務省HP:児童の権利条約)

平成28年の児童福祉法の改正(平成28年5月27日成立)により、昭和22年の児童福祉法制定以来、見直しがされていなかった理念や原理が、児童の権利条約にのっとった形で明確化されました。

国、地方公共団体は、児童が家庭で心身ともに健やかに養育されるように、まず保護者を支援し、こどもが家庭で養育されることが困難または適当でない場合は、家庭と同様の養育環境(養子縁組や里親・ファミリーホーム)で継続的に養育されるように、それが適当でない場合はできる限り良好な家庭的環境(グループホームや小規模グループケア)で養育されるように、必要な措置を講じることが理念として定められました。

それとあわせて、養子縁組に関する相談・援助が都道府県(児童相談所)の業務(委託可能)となり、養子縁組里親が法定化され、養育里親と同様に、研修の修了名簿への登録欠格事由が定められました。

 

家庭養育優先の原則